FX初心者向けのテクニカル分析③売買のタイミングが分かる一目均衡表

FX初心者向けのテクニカル分析③売買のタイミングが分かる一目均衡表

一目均衡表を構成する5つのライン

昭和初期に一目山人(本名:細田悟一)が7年の歳月をかけて開発した「一目均衡表」は日本発のテクニカル分析で、海外でも「ichimoku」と呼ばれて多くのトレーダーに活用されています。相場の変動は「買い方と売り方の均衡が破れることによって起こる」という発想がベースになっており、他の多くのテクニカル分析では「価格」に重点が置かれているのに対し、一目均衡表では「時間」に重点を置いて分析を行うところが特徴的です。そのため、いつ相場が変動するのか、というタイミングを知るための分析方法と言えます。

上記のように、一目均衡表は「基準線」「転換線」「先行スパン1」「先行スパン2」「遅行線」という5つのラインで成り立っています。この5つのラインによって形成される「基準線」「転換線」「雲」「遅行スパン」という4つのパーツについて、以下に詳しく解説していきます。

①基準線

その日を含めた過去26日間の最高値と最安値の平均値を、移動平均線のように描いていくラインで、相場の大きな方向性を示すものです。基準線が横ばいになっている場合はレンジ相場であり、上向きになっているときは上昇傾向に、下向きになっているときは下落傾向に変化しているということがわかります。また、ローソク足チャートが上昇しているように見えても、この基準線の上昇が伴っていない場合は、その上昇傾向は短期間で収束する傾向にあります。一目均衡表では、相場を見るときに最も大きな基準となる重要なラインです。

②転換線

転換線は、その日を含めた過去9日間の最高値と最安値の平均値をつないだラインです。算出方法は基準線と同じ考え方ですが、より短期的な動きを示唆するものになります。転換線の見方で最も注意すべきは基準線とクロスするポイントです。移動平均線におけるゴールデンクロスやデッドクロスのように、転換線が基準線よりも上にいくときは「買い」シグナル、下に行くときは「売り」シグナルであるとされています。また、転換線は基準線に先行して動くため、値動きの方向が変わるときのサインをいち早くキャッチすることができます。

③雲

基準線と転換線の中値を26日先行させて表示する「先行スパン1」と、過去52日間の最高値と最安値の平均を26日先行させて表示する「先行スパン2」の間に形成される地帯を「雲」と呼びます。この「雲」と呼ばれるエリアは、相場の上昇や下落の抵抗帯になったり支持帯になったりします。例えば上昇している値動きが「雲」を抜ければそのまま上昇を続ける可能性が高く、抜けられなければ反転して下落することが多い傾向にあります。逆に下落している先に「雲」がある場合、そこで下落傾向が止まる可能性が高い一方で、抜けてしまったときにはそのまま一気に下落していく傾向が強くなります。
ただし、この雲抜けについては「ダマシ」が発生しやすいのが難点です。これを見極めるには、売られ過ぎあるいは買われ過ぎを判断するためのオシレーター分析である「RSI(相対力指数)」や「ストキャスティクス」と併用することが望ましいでしょう。

④遅行スパン

運行スパンとは、その日の終値を単純に26日さかのぼって過去の位置に記入したもので、遅行線とも呼ばれます。遅行スパンの見方として、まず遅行スパンがローソク足よりも上にあれば「買い」シグナル、下にある場合は「売り」シグナルとされています。過去の推移と比較して、現在の値が26本前よりも上にあるということは相場が上昇している、下にあれば下落しているということだからです。運行スパンはこのように過去と現在の比較を活用した分析方法であり、また26本前と今とを比較することは、ここから20本程度先の未来の値動きを予想するための材料にもなります。

まとめ

一目均衡表の特徴について、以下の4つのポイントを覚えておきましょう。

  • 基準線の動きによって相場の方向性を知ることができる
  • 転換線と基準線が交差するときは「売り」や「買い」のタイミング
  • 雲は価格の抵抗体あるいは支持帯になりやすい
  • 遅行スパンによってローソク足20本先程度の予想が可能になる

初心者にとっては、相場の方向感や強弱(上昇傾向・下落傾向)を把握しやすく、売りや買いのタイミングを示唆してくれるとても使いやすい分析方法です。ポイントを押さえてぜひ活用してみてください。