FXは「強制ロスカット」で投資家を守ってくれる?

FXは「強制ロスカット」で投資家を守ってくれる?

(強制)ロスカットとは?

FXを始めるには、まずFX会社を選んで口座を開き、一定のお金を担保として預け入れます。この預け入れたお金を「証拠金」と言います。そしてFX取引を行う際にレバレッジをかけた場合などは特に、証拠金よりも大きな額の損失を抱えてしまうこともあり得ます。
仮に自分の予想に反した大きな値動きがあったときに、大きな損失を抱えないためにポジションを閉じるよう逆指値注文を入れておくなどの措置を講じておくという手はあります。しかしいくら気をつけていてもすべての損失の可能性を自分でコントロールできるとは限りません。
このような場合に損失を一定レベルまでに抑えるためのシステム、それが「(強制)ロスカット」と呼ばれるものです。例えば証拠金10万円で1ドル120円のときにレバレッジ11倍で1万ドルの取引を行ったとしましょう。このポジションを維持している間に1ドルが110円に下がったとします。するとこの時点で含み損は10万円になり、証拠金を割り込む額の負債を抱える可能性を持つことになります。このようにある一定以上の含み損が発生した時点で、これ以上損失が増えないよう強制的に決済を行う仕組みがロスカットなのです。

ロスカットレベルは取引会社によって異なる

含み損がいくらになった時点でロスカットが執行されるかは、取引しているFX会社によって異なります。また、多くの会社ではロスカットの前に、ある程度の含み損が発生した時点で証拠金を追加するよう警告する「マージンコール」が発生します。
例えば、マージンコールが証拠金維持率50%、ロスカットが証拠金維持率30%に設定されている会社に、証拠金を10万円預け入れて取引を開始したとします。この場合、含み損が5万円になった時点でマージンコールが発生し、7万円になるとロスカットが執行されてポジションが強制的に決済される、ということになります。
マージンコールのシステムを設けていないFX会社はありますが、ロスカットは法令で義務づけられているため、国内のFX会社ではすべて設定されています。ロスカットというシステムは、FX会社が負債を一時的に肩代わりしたり、あるいはそれが不良債権化してしまったりするリスクを回避するための措置であり、負債を抱えないようトレーダーを守るためのシステムでもあります。

ロスカットは絶対ではない

上記で、ロスカットのおかげで証拠金を上回る損失を抱える心配は「基本的には」 ない、とご説明しましたが、実はロスカットがあってもFX取引において証拠金以上の損失が出る可能性はゼロではありません。例えば、以下の条件下で具体的に考えてみましょう。

証拠金10万円
マージンコール証拠金維持率50%
ロスカット証拠金維持率30%
レバレッジ11倍
通貨ペア米ドル円
買いポジションを建てた時点での為替相場1ドル=120円

この取引が次の為替変動で1ドル=115円になったとします。すると含み損が5万円になるためマージンコールがかかり、さらに1ドル=113円になるとロスカットが執行され、証拠金が3万円残るということになります。
しかし最初の値動きで突然1ドル=108円になったらどうでしょうか。この時点で含み損は12万円となり、証拠金を上回ってしまいます。ここでロスカットが執行されても、2万円の借金を抱えてしまうことになりますね。
これほどの大きな値動きは頻繁にはないかもしれませんが、絶対に起こらないとは言えません。こういった事態を避けるためには、レバレッジを抑え、証拠金に余裕を持った取引を行うよう、自分で気をつける必要があります。