FXのリスクとは?投資前に知っておくべき知識と回避策

FXのリスクとは?投資前に知っておくべき知識と回避策

為替変動リスク

FXは為替の変動を利用して利益を得ることを目的として行う投資です。しかし、為替レートは景気動向や国際情勢、政府による市場介入、投機的要因といった様々な要素によってつねに変動しているため、利益を得る可能性があるのと同じように損失が出る可能性もあります。買った通貨が安くなる、あるいは売った通貨が高くなることを想定して、決済の指値注文を利用する、各FX会社のロスカットルールを確認した上で利用するなどして、リスク管理を行うようにしましょう。

元本毀損リスク(元本割れリスク)・元本超過リスク

投資における「元本」とは、利益を得るために投資した金額を指します。FXでは、通貨の売買を行うために投資する金額です。

そもそも投資をするのはこの「元本」を増やすために行うものですが、取引の結果によって元本が減ってしまうこともあります。このように取引によって投資した額を下回ってしまうことを「元本毀損(元本割れ)」と言い、さらに損失額が元本を上回ってしまうことを「元本超過」と言います。例えばFXでは、少額の資金(証拠金)でもレバレッジによって個人で最大25倍の取引を行うことができますが、レバレッジをかけて取引を行っている場合に急激な為替変動が起こって損失が出てしまった場合、その損失額もレバレッジによって数倍に膨らんでしまいます。こうした取引には元本毀損(元本割れ)や元本超過が起こるリスクを大きくはらんでいます。

このようなリスクを考えて、多くのFX会社では損失を証拠金の範囲内で確定させるために自動的に決済する「強制ロスカット」というシステムを適用します。しかし24時間取引可能、そして世界各国のニュースに敏感に反応するFXの世界では、瞬時に急激な為替変動が起こり、ロスカットによる決済が遅れてしまうこともあるため、絶対に安心というわけではありません。

こうした事情を踏まえた上で、FX取引で借金を発生させないためには、大イベント前にはポジションをクローズする、つねに証拠金に余力を持たせた状態で取引を行うなど、自身によるリスク管理が重要になってきます。

スワップポイントの変動によるリスク

FX取引で利益を得る方法の1つに、2国間の金利差であるスワップポイントによってコツコツと利益を得ることを目的とするスワップトレードがあります。これは比較的安定した資産運用として知られていますが、高金利通貨を長期運用することで小さな利益を積み重ねるという方法だからこそ、急遽発生したリスクに気づきにくいという落とし穴があることも覚えておかなければなりません。

そもそもスワップ金利がマイナスである通貨ペアを長期に渡って運用することは多くの人が避けることだと思いますが、スワップポイントで利益を得やすい高金利通貨であっても、国内の経済情勢が変化したことによる政策金利の変更や、FX会社の事情よるスワップポイントの付与額の変更は、いつでも起こり得ることです。このような事態によって金利逆転が発生すると、これまで受け取っていた金利差額を支払う側になってしまうということはつねに予測しておかなければなりません。

こうしたリスクを軽減するため、長期運用になりがちなスワップトレーダーは特に、レバレッジを低く設定し、計画性を持った資産運用を心がけるようにしましょう。

流動性リスク

意外と忘れられがちなことですが、通貨の売買というのは、売りたい人と買いたい人の両方がいて成立するものです。例えばある通貨を売りたいと思っても、買う人がいなければ売買は成立しません。

「米ドル」「ユーロ」「日本円」などの流動性の高いメジャー通貨についてはこうした心配は無用ですが、「南アフリカランド」「ニュージーランドドル」「トルコリラ」「メキシコペソ」などのマイナー通貨はマーケット規模が小さく、売りたいときに売れない、買いたいときに買えないといった取引の不成立が起こりやすくなります。また、取引している人が少ない分、小さなきっかけで為替レートの急落や暴騰が起こりやすいという特徴もあります。特に初心者はこうした流動性の低い通貨ペアに手を出すのはリスクが高いため、まずはメジャー通貨の取引から始めるのがおすすめです。

電子取引リスク

FXの取引はネット上で行います。そのため、ネット環境やスマホ・タブレット・PCなどのデバイスに何らかの障害が発生したときには、大事な場面で取引ができなくなるというリスクを抱えています。一瞬の為替変動が利益と損失に関わり、決済タイミングの数秒の違いが明暗を分けるFX取引では、通信機器や通信環境の障害は命取りになりかねません。また、大手はほぼ問題無いと言われていますが、FX会社側のシステム障害の可能性もゼロではありません。

こうした電子取引リスクを回避するためには、堅牢な通信環境を整える、取引に利用するデバイスを複数持っておく、FX口座を複数持って取引を分散させるなどの対策をしておく必要があります。

信託保全リスク

FX取引を行うためには、いずれかのFX会社に口座を開設し、その会社を通じて取引を行います。しかし万が一そのFX会社の経営状態が悪化し、倒産してしまったら、預け入れたお金や取引で得た金額などはどうなってしまうのでしょうか。

こうしたケースに備えて、日本では2010年から、顧客が預託している資金を信託銀行に預け、万が一FX会社が倒産した場合には、信託銀行が顧客に投資資金を全額返金してくれるという「信託保全」が、すべてのFX会社に義務付けられています。そのため、日本のFX会社を通じて取引を行う場合には今は安心と言えますが、海外のFX会社はそれぞれ独自の基準に基づいて運営が行われているため、注意が必要です。